アルバイトは江戸時代からあった?

フリーターという言葉が生み出されたのは、アルバイトで生計を立てる人たちが、役者やミュージシャンを目指しながら、いわば夢を追うためにフロムAという求人情報誌の編集長が作り出しだ造語でした。これは1980年代の話ですが、その前からアルバイトという雇用形態はありました。では、いつからこのアルバイトって存在してたのでしょうか。アルバイトとは、つまり定職ではなく、一時的に部分的に働いて、その一部の時間や日数に応じて給与を出すことで、これから言えば、幼稚園児が肩たたきをして、お父さんからお小遣いをもらう事も、いわばアルバイトと言えるでしょう。これくらいの事なら、何十年どころか、何百年、何千年も前からあるのではないでしょうか。

アルバイトは江戸時代からあるとも言えます。これは、アルバイトの定義にもよるところですが、江戸時代は、幕府や主君から土地を受給し、そこから得る年貢を収入にし、下級武士は主君から俸禄米で給料を得ていました。しかし、この年貢収入には問題があり、お金がかなり雑に払われていました。農民は、武士より階級が低いので、上から強く言われたら、泣き寝入りで強く言えません。なので、まじめに働いても、給料がもらえないという今でいう、とんでもないブラック企業の極みだったわけです。

最下級の奉公人に、中間や小者と呼ばれる身分がありました。これらの人たちは、戦いがあれば参戦して、なにもなければ色々な自宅での雑用をしていました。戦に備えて武将達は常に、今で言う正社員として雇用してました。
ですが、江戸の後半になると戦をあまりしなくなったことと、武家の経済状況が傾きだしたので、中間や小者と呼ばれる奉公人を雇えなくなってしまいました。
しかし、法律で、何人は雇わないといけないという決まりがあったので、
期間限定の奉公人を雇うという、節約のために編み出された、一休さんのトンチのような方法ができてしまいました。

期間限定の奉行人を雇うのに、あっせんして儲けるひとたちもあらわれます。口入れ屋という業者が、多いときで、江戸だけで400箇所もあったといいます。お金を算出するのが難しくなると期間限定で雇うという方式は江戸からもうすでにあったのです。江戸の人はもっと働いて、お金を稼ぎたいという人もいたでしょうし、うっかり八兵衛みたいに落語で登場する人たちは、期間限定くらいの方が性にあってたのかもしれません。